物欲の権化のような父フョードル・カラマーゾフ。それぞれ相異なりながらも色濃く父の血を引いたミーチャ、イワン、アリョーシャの3人兄弟。そして、フョードルの私生児と噂されるスメルジャコフ。これらの人物の交錯が作り出す愛憎の地獄図絵の中に、神と人間という根本問題を据え置いた世界文学屈指の名作を、学習者が読みやすいよう、シンプルなロシア語と日本語の対訳にしました。音声付き (MP3形式) なので、リスニングも鍛えられます。
本書の特徴
注:本書の CD-ROM は MP3 形式になっており、パソコンや MP3 プレーヤーで聴くことができます。MP3 ファイルの転送・再生につきましてはお使いの機器の説明書をご参照ください。(参考:付属CDから MP3音源をパソコンの音楽プレーヤーに取り込む方法について)
※このディスクはCDプレーヤーでは再生できません。
リライト版「カラマーゾフの兄弟」を読むにあたって
日本にもファンの多いドストエフスキーの大作を極限まで縮めて語学教材にしてしまうという野心的な試みをしたのが本書です。ここでは教材として許される範囲内で、ロシア語の原作が持つ雰囲気や重要なポイントも可能な限り反映されるよう留意されています。そのため一般の教科書ではおそらく見ることのない語彙や表現も多数使用されており、ロシア語文法の基礎を習得済みであるという前提での構成となっていますが、副読本的な使い方もできると思います。
学習者には巻頭の「覚えておきたいロシア語表現」と各頁の下に設けられた語注を参照することで、文法だけでなく作品そのものへの理解も深められるよう配慮してあります。
本書を通して生きたロシア語の難しさと面白さを体験していただくと共に、ロシア文化の片鱗にも触れ、まだ原作を読んだことのない人には作品の面白さを知っていただき、これを機会に更に興味を持っていただければ幸いです。
及川 功(翻訳者)
※『ロシア語で読むカラマーゾフの兄弟』をお買い上げのお客様へ
193ページの日本語訳最終行に以下の一文が欠落しておりました。
「コーリャは夕方また病人を訪問すると、アリョーシャに約束した。」
謹んでお詫び申し上げます。
プーシキンやトルストイ、ツルゲーネフとともに、19世紀のロシアを代表する作家。モスクワの貧民救済病院の医師の次男として生まれ、15歳までモスクワで暮らす。工兵学校生時代と作家時代を送ったサンクトペテルスブルグは、物語の舞台として数々の作品に登場する。1846年、『貧しき人々』でデビューした当時は「ゴーゴリの再来」と呼ばれた。1849年、社会主義運動のサークルに所属していた件で捕まり、シベリアの牢獄へと送られる(『死の家の記録』に詳しい)。以後、俗に五大長編と呼ばれる小説群『罪と罰』、『白痴』、『悪霊』、『未成年』、『カラマーゾフの兄弟』を書き上げた。
モスクワ大学ジャーナリズム学部卒業。ロシアの大手ラジオ会社に勤務し、自身の番組でパーソナリティーを務める。その後、ロシア企業と日本企業を結ぶコミュニケーション・広報活動を行う。2010年、来日後は、日露関係のスペシャリストとして活躍。雑誌への寄稿、記事掲載のほか、共同研究論文『ロシアと日本:21世紀の隣人』の共著者でもある。
モスクワ国立言語大学外国人学部英露語学科卒業。中間論文ではチェーホフの三部作と女性関係について纏める。在学中よりテレビ局通訳、産業翻訳を中心に活動を続けている。