山田暢彦・著
英会話は、スポーツや楽器と似ているとよく言われます。習得するには、いずれも知識の蓄積だけではなく、実際の練習や反復によって「体で覚える」ことが必要です。
しかし、だからと言って、ひたすら話す練習をすれば英語がペラペラになるかと言うと、実はそうでもありません。
人が言葉を習得するのは、「インプット」→「アウトプット」の順番が原則だと言われています。つまり、聞けるようになって初めて話せますし、読めるようになって初めて書けるようになります。実際、幼児が言語を身につけるプロセスを考えてみると、確かに赤ん坊は、かなり多くのことを聞いて理解できるようになって、初めて少しずつ話すようになりますね。インプットでたっぷりと言語のお手本に触れることで、少しずつ話すための下地ができあがります。逆に言うと、この下地なしには、言葉は話せるようになりません。
英会話を取り巻く最近の状況を見ていると、(和訳や文法中心の学校英語への反動からか)多くの日本人が「話せるようになるには、とにかく話さなきゃだめだ」と信じているようです。もちろん、話す練習は不可欠ですが、もしもその結果、学習者がインプットをおろそかにしているとすると、残念ながら、その方の英会話はあまり伸びないでしょう。がんばってジェスチャーを交えて単語を並べても、発信力を支えるそもそものインプットがなければ、言葉は出てこないからです。「ないものは出ない」のです。
本書は、こういった観点から生まれた新しいタイプの英会話トレーニング本です。あくまでもスピーキング力を高めることが目的ですが、そのために、アウトプットを支えるインプットをまずていねいに行います。お手本の英語をたっぷりとインプットし、英語の感覚を身につけてください。その感覚が、のちに自分でアウトプットするときの大事な拠り所になります。
ところで、英語に限らず、私たちは日常生活の中で、あらゆるものをお手本にして新しい技を身につけています。たとえば、料理の腕を上げたい人はレシピ集をお手本にしますし、おしゃれ好きはファッション誌を参考にしますね。歌が好きな人はお気に入りの歌手を真似し、スポーツ好きは一流選手のプレイを見て技を盗みます。
この「参考にする」「真似する」というのは、まさしくインプットです。インプットで新しい知識や視点を得ることで、アウトプット(=料理の出来、着こなし、演奏、プレイなど)が伸びるのです。
これと全く同じことが、英会話でも起こります。英語のアウトプット力を高めたいからこそ、インプットしましょう。
英会話のトレーニングは、ただやみくもに英語を口にすればいいわけではない。たっぷり INPUT することで、OUTPUT (スピーキング) がかえって伸びる。中学習う英文法だけで、ネイティブのような会話ができる!